輪島塗

WAJIMANURI 輪島塗について

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一切の手間を惜しまぬ伝統の技と 妥協を許さない揺るぎなき誇り。 そして放たれる圧倒的な存在感。

一切の手間を 惜しまぬ伝統の技と 妥協を許さない 揺るぎなき誇り。 そして放たれる 圧倒的な存在感。

国内有数の伝統工芸品としてその名を馳せ、その圧倒的な美しさや堅牢性が世界的に評価を受ける輪島塗。人類の叡智が生み出した漆を活用した技法に、芸術品としての価値までを付加するのは、長く脈々と受け継がれてきた職人たちの技に他なりません。それらは、完成まで130にも及ぶ工程に分けられ、そのすべてが繊細さや忍耐強さを必要とするもの。意匠としての美しさはもちろんながら、メンテナンスを繰り返すことで、世代を超えて使っていける究極のエコアイテムとなるための創意工夫が随所に見られます。さらに描かれる図柄は日本人的な感性を呼び起こし、暮らしに感動や安心を与えるもの。日常と非日常の両方を豊かに演出する唯一無二の輝きや趣が宿ります。 撮影協力:YUKAKU / 辻椀木地木工芸 / 北濱蒔絵工房

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歴史

HISTORY

時と場所を超えて評価される
美と堅牢性。
それらをつくり出す
職人による数々の技。

漆器の文化が大陸から日本へと伝わったのは7,000年前と言われていますが、そこからさらに2,000年近く遡った縄文時代の出土品の中にも漆器が見つかっています。器の堅牢性を高めるために漆を塗るという技法は、人類の叡智の結集。現在に至るまで、日常的に使用する道具でありながら、圧倒的な美しさを誇る芸術品として、世界的にも高い評価を受けています。

WHAT’S“WAJIMA-NURI”

なぜ輪島で漆塗りづくりが

盛んになったの?

能登半島の海に面した港町である輪島が、古くから海上交通の要所として栄えたことや、ウルシをはじめとした漆器づくりに欠かせない木々が育つのに適した豊かな自然を有した土地だったことなどが関係していると言われています。 明治元年に創業した八重門漆器店をはじめ、多くの漆器専門店が、輪島から馬車と船で全国に行商にいくスタイルで商売を行い、寺院や料亭、旅館などから注文を受け、半年~1年をかけて制作に注力し、再度納品に行っていたようです。

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技術

CRAFTMANSHIP

実に130余りの工程を経て完成へ。
そのすべてに人の
“手”と“熱”が加わっていく。

輪島塗の制作は、完全分業制。街全体が工房となり、そこに点在する職人たちが、自分が携わる工程を絞り込むことで、それぞれに技術を研鑽し、品質を高め続けてきました。それらの職人の指揮をとるのが「塗師屋(ぬしや)」と呼ばれるポジション。プロデューサー的な立場で、品質やスケジュールの管理を行います。八重門漆器店も塗師屋の一つであり、長きにわたって多くの職人たちを抱え、歴史に残る名作の数々をうみ出してきました。

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制作工程

FLOW

人類が誇る叡智と、輪島の地の特性が、
脈々と受け継がれ、今なお進化する。

130にも及ぶ輪島塗の制作工程は、1本の丸太をお椀の形に削っていく「木地挽き」、修復を可能にするために漆を塗っていく「塗り」、そして山川草木や花鳥風月など自由なテーマで装飾を施す「加飾」の3つに大きく分類できます。そのプロセスを丁寧に踏んでいくことで、暮らしの道具でありながら、芸術品と称されるまでに機能性と繊細な美しさを併せ持った一つの作品が出来上がっていくのです。

椀づくりにおける工程の一例

木地挽き

木地挽き

ロクロとカンナを用い、時間をかけ、
じっくりと木と対話するように。

1本の丸太を削ることで「荒型」と呼ばれる状態にし、そこから1年以上の自然乾燥の期間を経て、さらにオーダーされたカタチへと削り出していきます。五感すべてを研ぎ澄まして仕上げていくその姿は、まさに木地職人のものづくりへの魂が映し出されたもの。最終的には光にかざせば木の繊維が透けて見えるまでに薄く削ることで、「椀木地」と呼ばれるベースのカタチが出来上がります。

FLOW 01

下地塗り

 下地塗り

“布着せ”や“地の粉”の工程。
長く使うための漆器づくりの根幹。

欠けやすい箇所や劣化しやすい箇所に麻布をかけて補強する「布着せ」や、器の堅牢性を高めるために珪藻土を焼いてつくられる「地の粉」を混ぜ込む工程などが含まれ、輪島塗と他とを区別するのに重要な工程。これらのプロセスを経て、漆器は世代を超えて使えるエコアイテムになり、また定期的なメンテナンスを通して自分だけのエイジングを楽しみながら愛することができるかけがえのない一品となります。

FLOW 02

上塗り

上塗り

和紙で濾した漆を、素早く、丁寧に。
職人の技が光る塗りの最終工程。

ほこりや塵をいっさい排除した衛生的な環境と、温度と湿度の両方を徹底的に管理された工房空間にて、塗りと乾燥の工程を繰り返していきます。表面に塗りムラを残すことなく、均一な厚さで漆を塗っていくのには、熟練された繊細な技術が必要。模様のない無地の器であれば、上塗りが終わった時点で、商品は完成となります。

FLOW 03

沈金

沈金

漆の厚みを生かして、繊細に。
輪島塗の真髄とも言える加飾技法。

器の表面に「沈金ノミ」「沈金刀」と呼ばれる道具で絵柄を彫り、そこに漆を流し込んで、さらに金粉や金箔を刷り入れることで接着させる技法です。華やかに輝く金の線と金の点で立体的に描かれる模様は、ある程度の厚みのある漆の層を活かした手法であり、輪島塗の持つ特徴のひとつと言えます。

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蒔絵

蒔絵

人間の営みや四季の移ろいなど、
日本人に宿る豊かな感性を巧みに表現。

筆を用いて器の表面に絵柄や模様を描き、それが乾かないうちに、金や銀の粉を蒔くことで仕上げる加飾方法です。多彩な表現が可能であり、花鳥風月や山川草木などの古典的な世界観だけでなく、より抽象的な表現や幾何学模様、キャラクターといった現代的な感覚と自由なテーマで描かれることもあります。

FLOW 05

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使い方

HOW TO USE

日々の暮らしに寄り添いながら、
時代・世代を超えて使い続けられます。

普段の食卓で活用するもよし、また特別な日の演出や贈り物に用いるもよし。日本人が大切にしてきた感性や価値観、感動を伝達する道具として長く愛されてきた輪島塗。時代や流行などに左右されない普遍的な価値を持つ道具として、多くの人に親しまれ、また暮らしを少し豊かな気分にさせてきました。

POINT晴れの日の演出に

凛とした表情を見せる漆器のお皿や茶道具などは、いつもとは少し違う特別な1日にぴったり。お客様に対するおもてなしの気持ちを表現したり、空間に程よい緊張感を与えたりするのに最適です。

POINT少し特別な贈り物に

たくさんの職人たちが、一切の手間を惜しむことなく、思いを込めてつくった漆器。それを大切な人へのプレゼントとして活用すれば、年代を問わず喜んでいただけること間違いありません。

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手入れ

CARE

毎日の食卓に並べることで
深まる味わい。
ずっと美しく、ずっと強くあるために。

表面にキズをつけやすいフォークやナイフを使わないなど、日常的なケアを忘れずに扱えば、一生を通して暮らしに寄り添い続ける道具として、その真価を発揮します。漆器は「ひとつのモノに手を加えながら大切に使う」という、時代を超えて私たち日本人がずっと尊んできた価値観を呼び起こし、使うことで心までを満たしてくれるアイテムです。

POINT水分と紫外線は禁物

漆にキズをつけるナイフやフォークなどに加えて、汚れを落とした後の水分の拭き残しと、長時間に渡って紫外線を当てるのも厳禁です。適切な保管状態をキープするようにしましょう。

POINT毎日使って艶を出す

「高価なものだから」と日常的な使い方を避けがちな漆器ですが、それは間違い。できるだけ毎日使って、適度な湿度を保つことで、漆に長く使うのにふさわしい艶が出てきます。